長調と短調の違いを音の開きから理解する【研究者と学ぶ音楽理論 #1】

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こんにちは、みっちゃんです。

本業の傍ら、マイペースにブログで情報発信しています。

音楽を学び始めた方
音楽を学び始めた方

長調と短調の違いを知りたい。有名どころで「ハ長調」を聞いたことがあるけど、何を意味しているのか分からない。ただ単に、コードを覚えたりするのもつまらないので、理論から簡単に解説して欲しい。


この記事を書いている私は、10年以上、プログラミングを駆使して、世界中に散らばっているビッグデータを分析する仕事をしています。

それと同時に、幼少期から、ピアノやギターに触れてきました。


最近では、外出するのを自粛して、家に滞在したままできる「楽器を使った音楽」を新たな趣味にする方も多くなっていると思います。

そんな方が、音楽の奥深さ、不思議さに触れながら、充実した生活を送れるように、簡単に音楽の理論について紹介したいと思います。


今回の記事は、長調と短調の違いを知りたい!

そんな風に考えている方に。

すべての音楽は、12個の音で構成されている

子どもの頃に、音楽に使われている音(Sound of Music)を覚えるときに「ドレミのうた」に触れた方も多いと思います。

ドレミのうた」の歌詞(一部)

ドはドーナツのド
レはレモンのレ
ミはみんなのミ
ファはファイトのファ
ソはあおいそら
ラはラッパのラ
シはしあわせよ

この歌詞に出てくる音の名前は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7個なので、「音の数=7個」と誤解されている方もいるかもしれません。

実は、音の数は、皆さん馴染みのあるピアノの鍵盤を見れば分かります。

ピアノは、白い鍵盤(白鍵)と黒い鍵盤(黒鍵)からなり、左から右に向けて、音が順番に高くなるように設計されています。

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という7個の音は、すべて白鍵で鳴らすことができる音です。

一方、黒鍵で鳴らすことができる音もあり、その音は白鍵で鳴らすことができる音とは異なります。

つまり、音楽は、(ピアノで言うと)白鍵で鳴らすことができる7個の音と、黒鍵で鳴らすことができる5個の音、あわせて12個の音から構成される、ということになります。

それでは次に、黒鍵で鳴らすことができる5個の音の「名前」を見ていきましょう!

ちなみに、12個の音は、1オクターブ(例:ドから次のドまで)の音の高さを12等分するように、チューニングします。結果として、隣あう音で(音の高さを決める)周波数の値を比較すると「1:2の12乗根」になっています。

12個の音の開きを理解して、それぞれの音に名前をつける

ピアノでいう黒鍵に相当する音は、シャープ(#)やフラット(♭)といった記号を使って表現します。

これらの記号の意味を理解するには、「全音」「半音」と呼ばれる音の開き具合を知る必要があります。

「全音」と「半音」の意味

全音:1つ飛ばしの音の開き(ドとレ、レとミ、ファとソ、ソとラ、ラとシ、など)
半音:隣の音の開き(ミとファ、シとド、など)

いま知りたいのは、ピアノでいう黒鍵に相当する音です。

例えば、ドとレの間にある音の名前を考えます。

この音は、ドの右隣の音・レの左隣の音であり、音の開きを考えると、ドから半音高くなった音・レから半音低くなった音、と言うことができます。

この音を表現するときに、シャープ(#)やフラット(♭)といった記号を使います。

「シャープ(#)」と「フラット(♭)」の意味

シャープ(#)半音高い
フラット(♭):半音低い

つまり、ドとレの間にある音であれば、ド#、または、レ♭、と呼ぶことになります。


また、音の名前は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」だけではなく「C・D・E・F・G・A・B」や「ハ・二・ホ・ヘ・ト・イ・ロ」を使って表現することもできます。

明るい曲や暗い曲を決めるのは、決まったパターンの音の連なり

音楽を少し知っている方であれば、「長調」や「短調」といった単語を聞いたことがあると思います。

例えば、ヴィヴァルディの春(四季)は「ホ長調」、ショパンの幻想即興曲は「嬰(えい)ハ短調」、ドビュッシーの月の光(ベルガマスク組曲)は「変(へん)ニ長調」です。

一般的に、長調であれば「明るい」雰囲気の音楽になり、短調であれば「暗い」雰囲気の音楽になることが知られています。

不思議なことに、音を組み合わせる方法によって、「長調」か「短調」かが決まってきます。

「長調」と「短調」を構成する音の組み合わせ

長調全音+全音+半音+全音+全音+全音+半音(全全半全全全半)
短調:全音+半音+全音+全音+半音+全音+全音(全半全全半全全)

例えば、ヴィヴァルディの春(四季)は「ホ長調」ですが、「ホ長調」とは「ホから始まる長調」を意味しています。

“ホ” とは上で紹介した音の名前で、ドレミで考えると “ミ” の音です。

“ミ” の音から、長調(全全半全全全半)の音の開きを考えて、音を並べていくと、以下のようなホ長調(E Major)ができあがります。

同じように、ショパンの幻想即興曲は「嬰(えい)ハ短調」ですが、「嬰ハ短調」とは「嬰ハから始まる短調」を意味しています。

“嬰” とは “#” のことなので、”嬰ハ” をドレミで考えると “ド#” の音です。

“ド#” の音から、短調(全半全全半全全)の音の開きを考えて、音を並べていくと、以下のような嬰ハ短調(C# minor)ができあがります。

ドビュッシーの月の光(ベルガマスク組曲)は「変(へん)ニ長調」ですが、「変ニ長調」とは「変二から始まる長調」を意味しています。

“変” とは “♭” のことなので、”変ニ” をドレミで考えると “レ♭” の音です。

“レ♭” の音から、長調(全全半全全全半)の音の開きを考えて、音を並べていくと、変ニ長調(D♭ Major)ができあがります。

“レ♭” は “ド#” と同じなので、「変ニ長調」は「嬰ハ長調」と同じです。

ショパンの幻想即興曲が、同じ主音の音階である「嬰ハ短調」だったのですが、「嬰ハ長調」になることで、選ばれる音が変わってきます。

音階のそれぞれの音はディグリーで表現され、それぞれが違う意味をもつ

ここまで、いろいろな音階を紹介しましたが、それぞれの音階を構成するそれぞれの音には、ディグリーという名称が付けられています。

まず、○長調や○短調というときに、○に相当する音は「トニック(主音)」と呼ばれています。

例えば、ハ長調の音階は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」ですが、やはり、”ド” が一番の主役な感じがしますよね。

このことから、「トニック」を基準に構成される和音は「安定感」につながるとされています。

「トニック」の反対に位置する音が「ドミナント」と呼ばれる音で、ハ長調の音階では “ソ” に相当します。

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の中で “ソ” の音にもつ印象はさまざまかもしれませんが、「ドミナント」を基準に構成される和音「緊張感」につながるとされています。

面白いですね。


ということで、長調と短調の違いと、自由自在に好きな音階を作り出す方法を紹介しました。

「本当にそうなるの?」と思った方は、是非、お手元の楽器を鳴らして、確かめてみてください。

音楽の奥深さ、不思議さ、もしくは、単純さに触れる機会になれば、うれしいです。

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